近年油圧装置の高機能化とともに、 その一役を担っているのがこれらのソレノイドです。ウェット構造でデザインされているため、 制御用液体の浸入にも万全を期しています。
最も代表的な用途としては、建設機械や射出成形機等の油圧機器の圧力制御弁、流量制御弁、方向切替弁があります。
1.比例ソレノイド
図1
通常のソレノイドは、その動作がオン・オフであるのに対して、比例ソレノイドはプランジャの位置を任意に制御することができます。これは磁極形状の工夫と付加されるスプリングにより得られる特性で、コイルに流れる電流の大きさによりプランジャの位置を制御します。
安定した推力特性、少ないヒステリシス、高応答性などを備えた新電元製品は、油圧装置用をはじめ、各種の用途に使用可能です。(図1)
- 1)ストロークと推力(吸引力)の関係
- 図2
- 比例ソレノイドは、コイル電流の大きさによりプランジャの位置を任意に制御できるコントロールストローク部と、それができないアプローチストローク部があります。これらのストロークは、各サイズにより設定されており、通常はコントロールストローク部のみを使用します。
図 2はストロークと推力の特性を表わしています。 スプリングの特性は外部に取り付けられるスプリングの負荷を意味しています。
各電流値 (i1,i2,i3)の推力カーブと、スプリング特性との交点のストローク(S2,S1,O)が、比例ソレノイドの推力とスプリング負荷のバランス点となります。
これは、もしコイル電流をi1アンペア流すと、プランジャとスプリング負荷はストロークS2の点でバランスすることになります。次にコイル電流をi2アンペアに増やすと、プランジャはさらにS1の点まで動きバランスします。このようにコイル電流を変イヒさせることにより、プランジャの位置を比例的に制御可能となります。
ただし、実使用状態においては負荷変動、ヒステリシス、温度などの影響を考慮することが必要です。 - 2)ヒステリシス
- 図3
- コイルに電流を通じ、プランジャを設定ストロークで往復(例えば図3にてS4→O→S4)させるとき、ある電流値において推力の往復差が発生します。これがヒステリシスで、図3のように定格電流I Aにおける推力をXとし、ある電流値(i)の点の推力を⊿Xとすると、その点のヒステリシスは次のように表すことができます。
ヒステリシス(%)= | ⊿X | X100 |
X |
2.オン・オフソレノイド
図4
オン・オフ専用にデザインされたこれらのソレノイドは、高応答性、高効率と安定した推力特性、そして堅ろうな構造などの特長を備えています。方向切替弁などの制御用に最適です。(図4)
3.一般仕様
絶縁階級 | F種(155℃) |
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絶縁耐圧 | AC1000V、50/60Hz 1分間 (常温、常湿) |
絶縁抵抗 | DC50OVメガーにて100MΩ以上 (常温、常湿) |
4.ご注文に際して
比例ソレノイドまたはオン・オフソレノイドをご注文なさる場合は、 製品名をご指定下さい。
〔指定例〕 | PS45S-0305-24(比例ソレノイド) |
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5.銘板表示
銘板は下記のように表示しております。
●カタログ品
タイプNo | ※1 製造ロット |
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〔表示例〕 | PS45S-0305-24 | 9401 |
※1製造年週 (西暦下2桁と週番)
●特殊品
カタログ記載と一部でも寸法等が異なる場合全て特殊品として個々のパートNo.を表示しております。
※1 MまたはF |
パートNo. | ※2 PSまたはW |
※3 製造ロット |
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〔表示例〕 | M | 94006 | PS | 9401 |
※1ミリネジはM インチネジはFを表示
※2比例ソレノイドはPS、オン・オフソレノイドはWを表示
※3製造年週 (西暦下2桁と週番)