1. 構造と特長
新電元プッシュプルソレノイドは、 最も小さいサイズと重量で最も大きい吸引力が得られるよう、最大限収納されたコイル部を高透磁率の金属で覆い、しかもプランジャには補助磁極を設けたことにより補助磁極が無い場合に比べ、20~50%の吸引力アップ。(当社5ECストローク3mm比較)と大変効率が良くなっています。その上、高さが外径の約1/2と偏平構造になっているので省スペースです。
また、プッシュプルソレノイドは、プランジャ側のシャフトを利用すればプル型に、取り付けネジ側のシャフトを利用すればプッシュ型にと1台でどちらにも使用できます。
これらの特長を活かしOA機器、磁気周辺機器等に幅広く使用されています。
2.ストロークと吸引力
図1 コニカル型(C)
図2 フラット型(F)
ストロークと吸引力は反比例しますので、サイズや消費電力を小さくするためには可能な限り短いストロークでご使用いただくのが経済的です。
弊社では、コニカル(図1)とフラット型(図2)の2種類の磁極形状を標準としており、中ストローク以上でのご使用にはコニカル型、短いストローク、または大きな保持力が必要な場合にはフラット型が効果的です。
詳しくは各サイズの吸引力カーブをご参照下さい。
3.使用時に考慮していただくこと
- 1)温度について
- プッシュプルソレノイドのコイルデータは、全て周囲温度20℃で標準放熱板を取り付けたときの値を示します。
コイルデータに記載された定格通りに使用したとき、コイル温度上昇がほぼ85℃になるよう設計されています。
もし、 周囲温度が高くなるときや、 放熱板が規定より小さくなる場合は作動周期を下げて使うか、印加電圧を小さくして使用する等の考慮をし、コイルの許容温度120℃を超えないようにする必要があります。 - 2)エアーギャップスペーサ
- プッシュプルソレノイドには、プランジャとケース(又はベース)間にエアーギャップスペーサが組み込まれています。このスペーサはプランジャが復帰するとき残留磁気の影響を少なくするためのものですので、組み付け時に落したり忘れないようにして下さい。
- 3)復帰スプリシグ
- プッシュプルソレノイ ドには、プランジャを元の位置に戻すための復帰スプリングは組み込まれていませんので、外部へ装着するよう考慮して下さい。
- 4)シャフト加工について
- お客様自身でシャフト(材質:ステンレス)を加工なさる場合は、シャフト表面や軸受の内部に切粉が付着しないよう十分ご注意下さい。また、シャフトと軸受部には寿命を長くするための特殊グリスが塗付されています。グリスに切粉が混入したり、グリスを拭き取ってしまうと寿命を短くする原因となりますのでご注意下さい。
- 5)ソレノイドの取り付けについて
- 0EC、0EFの場合は、ソレノイドを取り付ける際の取り付けネジが長すぎるとコイルボビンを破損し絶縁破壊の原因となりますので、長さには十分注意して下さい。
4.一般特性
絶縁階級 | E種(120℃) 但し、リード線はA種(105℃) | |
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絶縁耐圧 | AC1000V 50/60Hz 1分間 (常温、常湿) |
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絶縁抵抗 | DC500Vメガーにて 100MΩ以上 (常温、常湿) |
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期待寿命 | 標準寿命形 | 200万回 |
長寿命形 | 1000万回 |
寿命は負荷や使用頻度等によって大きく左右されますので、ご使用時必ず実負荷で確認されることをお勧めします。
0EC、0EFおよび8LC、8LFは標準寿命形のみとなっております。
5.選定の仕方
プッシュプルソレノイドを選定する場合は、下記の内容を決めて下さい。
- 1)吸引力
- 負荷を動かすのに必要な吸引力に対し、温度変化、電圧変動を見込んだ安全係数1.5を乗じて下さい。
- 2)作動周期
- 使用するON時間とOFF時間から求めて下さい。 但し、各作動周期には最大ON時間が決められていますのでご注意下さい。
- 3)ストローク
- 必要なストロークを決めて下さい。
- 4)使用電圧
- コイルに印加される直流電圧を決めて下さい。
これらの仕様が決まりましたら吸引力特性一覧を使用し、おおよそのサイズの見当をつけてから該当サイズのコイルデータを参照すると便利です。もし、コイルデータに印加する電圧が見当たらない場合は、近似の電圧のコイルAWG.No.を選んで下さい。(例1)
なお、 全く均等な場合は、印加電圧より低い電圧側のコイルAWG.No.を選んて下さい。(例2)
(例1)DC24V使用の場合 | AWG.No.29作動周期50%23V AWG.No.30作動周期50%30V AWG.No.29を選ぶ |
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(例2)DC24V使用の場合 | AWG.No.30作動周期100%21V AWG.No.31作動周期100%27V AWG.No.30を選ぶ |
また、温度上昇後等の吸引力を知りたい場合は、アンペア・ターンを計算の上アンペア・ターン―吸引力のグラフをご利用下さい。
6.ご注文に際して
プッシュプルソレノイ ドをご注文なさる場合は、次の5つの項目をご指定下さい。
サイズ | AWG.No. | 使用電圧 | 作動周期 | 期待寿命 | |
---|---|---|---|---|---|
〔指定例〕 | 3EC | 31 | 24V | 50% | 標準寿命形 |
7.銘板表示
プッシュプルソレノイドの銘板表示はご注文の際ご指定いただく形式とは異なる表示をしております。
●カタログ品の銘板表示
サイズ | ※1 PまたはPL |
電圧 | 作動周期 | ※2 製造ロット |
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〔表示例〕 | 3EC | PL | 24V | 50% | 9401 |
※1 標準寿命形はP 長寿命形はPLを表示
※2 製造年週(西暦下2桁と週番)
ご注文の際に作動周期、使用電圧の指示がない場合は、作動周期25%、使用電圧は25%時の電圧が表示されます。
●特殊品
カタログ記載と一部でも寸法等が異なる場合は、全て特殊品として個々のパートNo.を表示しております。
※1 MまたはF |
パートNo. | ※2 PまたはPL |
※3 製造ロット |
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〔表示例〕 | M | 94001 | P | 9401 |
※1 ミリネジはM インチネジはFを表示。
※2 標準寿命形はP 長寿命形はPLを表示。
※3 製造年週(西暦下2桁と週番)