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ロータリーソレノイド


1. 構造と特長

構造と特長
図1

新電元ロータリーソレノイドは、 弊社プッシュプルソレノイドのフラット型構造と原理を基本に設計されております。(図1)ロータリーソレノイドにはケースとアーマチュアプレートに3か所のボールレースと呼ばれる特殊な傾斜溝を設け、この間にベアリングボールを介し、コイルに直流電圧を加えたとき発生する吸引力によってアーマチュアプレートがベアリングボールをケース側に強く押し付け、ボールレースの働きによって軸方向運動しながら一定角度を瞬時に回転動作するものです。

●ボールレースの傾斜が特殊に加工されているため、全角度にわたってトルクがほぼ一定である。(作動周期25%において)
●コイル周囲が高透磁率の金属で覆われているので漏れ磁束が少ない。
●回転動作するときの空隙が小さいので、クランクと組合せ直進型に変換したとき、長ストローク域で直進型より大きな力が得られる。
等の特長を数多く持っており、ラボシステム、工業ミシン等多方面にわたり広く使用されています。


2.最小総トルク

このカタログに記載されている最小総トルクは、コイル温度20℃における回転始動時の値です。
復帰スプリングが付く場合は、記載の最小総トルクの値から復帰スプリングトルクの最大値を差し引いたものが出力トルクとなります。単位にはN・mが使われています。

3.回転角度・回転方向

回転角度・回転方向
図2

回転角度・回転方向
図3

回転角度および回転方向は、予かじめケースとアーマチュアプレートに形成された3か所のボールレースによって決定されます。外部にストッパを設け回転を途中で止めて使用しても特性上問題はありませんが、この場合、図2のように励磁回転方向にストッパを設け、復帰時には必ず0°(回転始動位置)まで戻すようにして下さい。
(回転始動位置をずらして使用すると特性不良の原因となリますのでご注意下さい。)
回転方向は全てアーマチュアプレート側から見た場合を示し、時計方向回転が右回転(R)、反時計方向回転が左回転(L)となっています。

4.軸方向の運動

軸方向の運動
図4

ロータリーソレノイドは、直進力を回転運動に変換する構造となっているため、回転運動時に若干の軸方向運動しながら回転します。(図4)
従って、この軸方向運動を阻止すると回転運動が円滑に行われなくなりますので、必ず軸方向運動を逃げるように負荷を取り付けて下さい。
軸方向運動寸法は表1の通りです。

サイズ 2E 3E 4E 5S,5E 6S,6E 7S 8S,8L
軸方向運動
(約)(mm)
0.7 0.9 1.2 1.5 1.6 2.3 2.6
5.出力の取り出し方と付属品

ロータリーソレノイドには、 下記のような出力の取り出し方および付属品が用意されていますので、組合せてご使用になれます。

出力の取り出し方と付属品

出力の取り出し方と付属品

出力の取り出し方と付属品

出力の取り出し方と付属品

出力の取り出し方と付属品

X3 ベース側シャフト延長タイプ
X4 アーマチュアプレート側シャフト延長タイプ
X6 アーマチュアプレートにタップ穴を持つタイプ
X8 防塵カバー付きタイプ
X9 復帰スプリング付きタイプ

6.使用時に考慮していただくこと
1)温度について
ロータリーソレノイドのコイルデータは、全て周囲温度20℃で標準放熱板を取り付けたときの値を示します。コイルデータに記載された定格通りに使用したとき、コイル温度上昇がほぼ85℃になるよう設計されています。
もし、周囲温度が高くなるときや、放熱板が規定より小さくなる場合は作動周期を下げて使うか、印加電圧を小さくして使用する等の考慮をし、コイルの許容温度120℃を超えないようにする必要があります。
2)シャフト加工について
お客様自身でシャフト(材質:ステンレス)を加工なさる場合は、切粉がボールレース部や復帰スプリング部等に付着しないよう十分配慮下さい。
グリスに切粉が混入すると寿命が短くなったり特性を悪くする原因となります。
3)X6タイプの使い方
(アーマチュアプレートにタップ穴を持つタイプ)
ロータリーソレノイドは回転運動時に若干の軸方向運動があります。(図4参照)
負荷を取り付ける際のネジがアーマチュアプレート面よリケース側に出ると、軸方向運動を阻止することになり、回転不良の原因になりますので、十分注意して下さい。
7.一般特性
絶縁階級 E種(120℃)
但し、リード線はA種(105℃)
絶縁耐圧 AC1000V 50/60Hz 1分間
(常温、常湿)
絶縁抵抗 DC500Vメガーにて100MΩ以上
(常温、常湿)
期待寿命 標準寿命形 200万回
準長寿命形 1000万回
長寿命形 5000万回

寿命は負荷や使用頻度によって大きく左右されますので、ご使用時必ず実負荷で確認されることをお勧めします。

8.選定の仕方

ロータリーソレノイドを選定する場合は、下記の内容を決めて下さい。

1)トルク
負荷を動かすのに必要なトルクに対し、温度変化、電圧変動を見込んだ安全係数1.5を乗じて下さい。
2)作動周期
使用するON時間とOFF時間から求めて下さい。但し、各作動周期には最大ON時間が決められていますのでご注意下さい。
3)回転角度
使用する回転角度を決めて下さい。
4)回転方向
使用する回転方向を決めて下さい。
(ご指定する場合、アーマチュアプレート側より見た方向となりますのでご注意下さい。)
5)使用電圧
コイルに印加される直流電圧を決めて下さい。
これらの仕様が決まりましたらトルク特性一覧を使用し概略の見当をつけてから、そのタイプのコイルデータを参照すると便利です。
もし、コイルデータに該当する電圧が見当らない場合は、近似の電圧のコイルAWG.No.を選んで下さい。
なお、 全く均等な場合は、 印加電圧より低い電圧側のコイルAWG.No.を選んで下さい。(例2)
(例1)DC24V使用の場合 AWG.No.29作動周期50%23V
AWG.No.30作動周期50%30V
AWG.No.29を選ぶ
(例2)DC24V使用の場合 AWG.No.30作動周期100%21V
AWG.No.31作動周期100%27V
AWG.No.30を選ぶ

また、温度上昇後等のトルクを知りたい場合は、アンペア・ターンを計算の上アンペア・ターン-最小総トルクのグラフをご利用下さい。

9.ご注文に際して

ロータリーソレノイドをご注文なさる場合は、次の6つの項目をご指定下さい。

  サイズ 回転方向 回転角度 AWG.No. 出力の取り出し方
および付属品
期待寿命
〔指定例〕 4E R 25 27 X3X9 標準寿命形
10.銘板表示

ロータリーソレノイドの銘板表示は、ご注文の際ご指定いただく形式とは異なる表示をしております。

●カタログ品の銘板表示

  サイズ AWG.No. ※1
コードNo.
※2
R、REまたはRL
※3
製造ロット
〔表示例〕 4E 27 390 R 9401
※1
回転方向、角度、出力の取り出し方および付属品の組合せにより、表2のように取り決められており、これを表示しております。
※2
標準寿命形はR
準長寿命形はRE
長寿命形はRLを表示。
※3
製造年週 (西暦下2桁と週番)

●特殊品
カタログ記載と一部でも寸法等が異なる場合は、全て特殊品として個々のパートNo.を表示しております。

  ※1
MまたはF
パートNo. ※2
R、REまたはRL
※3
製造ロット
〔表示例〕 M 94003 R 9401
※1
ミリネジはM インチネジはFを表示。
※2
標準寿命形のときR 準長寿命形はRE 長寿命形はRLを表示。
※3
製造年週 (西暦下2桁と週番)
出力の取り出し方と付属品の記号 回転方向 R  回転方向 L
25° 35° 45° 67.5° 95° 25° 35° 45° 67.5° 95°
X4 070 071 072 073 074 075 076 077 078 079
X4X6 100 101 102 103 104 105 106 107 108 109
X4X6X9 110 111 112 113 114 115 116 117 118 119
X4X8 120 121 122 123 124 125 126 127 128 129
X4X8X9 130 131 132 133 134 135 136 137 138 139
X4X9 140 141 142 143 144 145 146 147 148 149
X6 170 171 172 173 174 175 176 177 178 179
X6X9 180 181 182 183 184 185 186 187 188 189
X3 220 221 222 223 224 225 226 227 228 229
X3X4 230 231 232 233 234 235 236 237 238 239
X3X4X6 260 261 262 263 264 265 266 267 268 269
X3X4X6X9 280 281 282 283 284 285 286 287 288 289
X3X4X8 290 291 292 293 294 295 296 297 298 299
X3X4X8X9 300 301 302 303 304 305 306 307 308 309
X3X4X9 310 311 312 313 314 315 316 317 318 319
X3X6 340 341 342 343 344 345 346 347 348 349
X3X6X9 360 361 362 363 364 365 366 367 368 369
X3X8 370 371 372 373 374 375 376 377 378 379
X3X8X9 380 381 382 383 384 385 386 387 388 389
X3X9 390 391 392 393 394 395 396 397 398 399

X3 ベース側シャフト延長タイプ
X4 アーマチュアプレート側シャフト延長タイプ
X6 アーマチュアプレートにタップ穴を持つタイプ
X8 防塵カバー付きタイプ
X9 復帰スプリング付きタイプ


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