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自己保持型ソレノイド


1. 構造と特長

構造と特長

新電元自己保持型ソレノイドは、従来のオープンフレームソレノイドに高性能な永久磁石を組み合わせ、コイルに瞬時の通電でプランジャが吸引し、吸引後は永久磁石により吸着保持させることにより、この間の通電を不要にした省エネタイプの直進型ソレノイドです。
コイルが通電されると、プランジャが1方向に吸引、保持する1方向保持型(図1)と、1方向保持型を直列に接続した形状で各々のコイルに通電することにより2方向に動作、保持する2方向保持型(図2)の2種類を用意してあります。
バッテリーの寿命を延ばしたいときや、発熱を少なくしたい場合等に大変有効な製品です。

2.ストロークと吸引、保持力

自己保持型ソレノイドの磁極形状は、1方向保持型ではコニカル型とフラット型がありますが、2方向保持型では、ストロークが決められているためコニカル型のみを標準としています。
一般的には、中ストロークで大きな吸引力を必要とするが、あまり保持力は必要でない場合にはコニカル型(SH1LCと表示)が、短いストロークで使用し大きな保持力が要求される場合にはフラット(SH1LFと表示)が効果的です。
詳しくは各サイズの特性カーブをご参照下さい。

3.使用時に考慮していただくこと
1)温度について
自己保持型ソレノイドのコイルデータは、全て周囲温度20℃、作動周期25%(SH2LC0524タイプのみ作動周期10%)でソレノイド単体の時を示します。
コイルの許容温度は105℃ですが、一般的に自己保持型ソレノイドは吸引時間に対し、保持時間が非常に長くなりますので、作動周期は0に近い状態になります。
このため、短時間通電で使用する場合は、温度上昇の影響は少ないと考えられます。
(最大ON時間に制限がありますのでご注意下さい。)
2)動作、復帰について
自己保持型ソレノイドには、永久磁石の極性の関係で、コイルの接続にプラス、マイナスの指定があります。(動作回路参照)
また、1方向保持型ソレノイドでは、復帰時に永久磁石のエネルギーを打ち消すため、短時間開放電流を流す必要があり、この場合コイルの接続はプラス、マイナスの指定がありますのでご注意下さい。
1方向保持型でのより安定した復帰を行うため、外部へ復帰スプリングを取り付けることをお勧めします。
3)取扱い
自己保持型ソレノイドには、永久磁石が組み込まれていますので、使用時、非使用時を問わず金属粉を引き付けます。
ソレノイドに金属粉が付着しますと、吸引力、保持力等の特性に影響が出ますので取扱いには十分ご注意下さい。
特にプランジャ (材質:鉄) やシャフト(材質:ステンレス)の加工時の切粉の処置には十分配慮下さい。
4.一般特性
絶縁階級 A種(105℃)
絶縁耐圧 AC1000V 50/60Hz 1分間
(常温、常湿)
絶縁抵抗 DC500Vメガーにて100MΩ以上
(常温、常湿)
期待寿命 標準寿命形 20万回

寿命は負荷や使用頻度等によって大きく左右されますので、使用時必ず実負荷で確認されることをお勧めします。

5.選定の仕方

自己保持型ソレノイドを選定する場合は、下記の内容を決めて下さい。

1)吸引力と保持力
負荷を動かしたり保持するのに必要な力に対し、温度変化を見込んだ安全係数1.3を乗じて下さい。

2)ストローク

1方向保持型
必要なストロークを決めて下さい。
無負荷や小さなストロークでのご使用の場合には、永久磁石の影響によりプランジャが吸引されてしまうことがあります。
(無励磁時における永久磁石の吸引特性は、ストローク-吸引力データに記載されています)
このようなときには、永久磁石の吸引力に打ち勝つだけの特性を持つスプリングを外部に付けるように考慮下さい。
2方向保持型
ソレノイド本体で決められています。
3)使用電圧
コイルに印加する電圧を決めて下さい。
4)作動周期
25%(SH2LC0524は10%)を標準としていますので、最大ON時間には十分ご注意下さい。
4)開放電流 (1方向保持型)
復帰させるために、 吸引時と極性を変えた電流をコイルに通電する必要があります。
一応の目安を規定していますので参考にして下さい。
これらが決まりましたら吸引力特性一覧を使用し、概略の見当をつけてから、そのタイプのコイルデータを参照すると便利です。
温度上昇後等の吸引力を知りたい場合には、アンペア・ターンを計算の上アンペア・ターン-吸引力 のグラフをご利用下さい。
6.ご注文に際して

自己保持型ソレノイドをご注文なさる場合は、次の項目をご指定下さい。
磁極形状にはコニカル型と、フラット型がありますのでご注意下さい。

  タイプNo.
〔指定例〕 SH1LC0524-06(コニカル型6V)
SH1LF0524-06(フラット 型6V)
7.銘板表示

品名は下記のように表示しております。

●カタログ品

  タイプNo. ※1
製造ロット
〔表示例〕 SH1LC0524-06 L
9401

※1製造年週 (西暦下2桁と週番)

●特殊品
カタログ記載と一部でも寸法等が異なる場合は、全て特殊品として、個々のパートNo.を表示しております。

  ※1
MまたはF
※2
パートNo.
※3
SH
製造ロット
〔表示例〕 M 94005 SH 9401

※1ミリネジはM インチネジはFを表示。
※2自己保持型の略号
※3製造年週 (西暦下2桁と週番)

8.2線式と3線式

新電元の一方向保持型ソレノイドは、1コイルでリード2線式が標準になっております。復帰させる場合は、コイルの接続をプラス、マイナス逆にして、さらに復帰電流調整用の外部抵抗を接続するか、または、復帰用の電源が必要となります。
外部抵抗を使わないで吸引電圧と復帰電圧を同じにしたい場合は、2コイルでリード3線式にする方法があります。
リード2線式と3線式の違いを下表に示します。

  2線式 3線式
構造 2線式 3線式
動作
回路
2線式 3線式
特徴 吸引力 3線式より大きい。 復帰コイルにスペースを取られるので、
吸引力は2線式より小さい。
復帰方法 復帰時は、電流を小さくする必要があるので、外部抵抗を接続するか復帰用の電源を必要とする。 そのまま接続すればよい。
コスト 3線式より安い。 復帰コイルも巻くため、
ソレノイドのコストは2線式より高い。
駆動回路 駆動回路は複雑になる。 駆動回路は2線式より簡単である。

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