1. 構造と特長
新電元小型プッシュプルソレノイドは、従来のプッシュプルソレノイドの特長をそのまま受け継ぎ、小型化と生産性を高めた非常に経済的なソレノイドです。
構造、動作はプッシュプルソレノイドと全く同じとなっており、電子錠、磁気記憶周辺機等に幅広く使用されています。
2.ストロークと吸引力
図1
小型プッシュプルソレノイドの磁極形状は、コニカル型(図 1)を標準としています。
プッシュプルソレノイドの項でも述べたようにストロークと吸引力は反比例の関係になっていますので可能な限り短いストロークでご使用いただくのが経済的です。
3.使用時に考慮していただくこと
- 1)温度について
- 小型プッシュプルソレノイドのコイルデータは、全て周囲温度20℃でソレノイド単体のときの値を示しています。コイルデータに記載された定格通りに使用したとき、コイル温度上昇がほぼ85℃になるよう設計されています。
もし、周囲温度が高くコイル温度が120℃を超える場合は、印加電圧を小さくして使用する必要があります。 - 2)エアーギャップスペーサ
- 小型プッシュプルソレノイドには、プランジャとケース間にエアーギャップスペーサが組み込まれています。このスペーサは、プランジャが復帰するとき残留磁気の影響を少なくするためのものですので、組み付け時に落したり忘れないようにして下さい。
- 3)復帰スプリシグ
- 小型プッシュプルソレノイドには、プランジャを元の位置に戻すための復帰スプリングは組み込まれていませんので、外部へ装着するよう考慮して下さい。
- 4)シャフト加工
- お客様自身でシャフト(材質:ステンレス)を加工なさる場合は、シャフト表面や軸受け内部に切粉が付着しないよう十分ご注意下さい。
また、シャフトおよび軸受部には寿命を長くするための特殊グリスが塗布されています。グリスに切粉が混入したり、グリスを拭き取ってしまうと寿命を短くする原因となりますのでご注意下さい。 - 5)ソレノイドの取り付けについて
- 小型プッシュプルソレノイドを取り付ける際の取り付けネジが長すぎると、コイルボビンを破損し絶縁破壊の原因となりますので、長さには十分注意して下さい。
4.一般特性
絶縁階級 | E種(120℃) 但し、リード線はA種(105℃) (注、サイズ11CはA種105℃となっております。) |
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絶縁耐圧 | AC1000V 50/60Hz 1分間 (常温、常湿) |
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絶縁抵抗 | DC500Vメガーにて 100MΩ以上 (常温、常湿) |
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期待寿命 | 標準寿命形 | 500万回 |
寿命は負荷や使用頻度等によって大きく左右されますので、ご使用時必ず実負荷で確認されることをお勧めします。
5.選定の仕方
小型プッシュプルソレノイドを選定する場合は、下記の内容を決めて下さい。
- 1)吸引力
- 負荷を動かすのに必要な吸引力に対し温度変化、電圧変動を見込んだ安全係数1.5を乗じて下さい。
- 2)作動周期
- 使用するON時間とOFF時間から求めて下さい。但し、作動周期には最大ON時間が決められていますのでご注意下さい。
- 3)ストローク
- 必要なストロークを決めて下さい。
- 4)使用電圧
- コイルに印加される直流電圧を決めて下さい。
これらの仕様が決まりましたら、吸引力特性一覧を使用し概略の見当をつけてから、そのタイプのコイルデータを参照すると便利です。
温度上昇後等の吸引力を知りたい場合は、アンペア・ターンを計算の上アンペア・ターン-吸引力のグラフをご利用下さい。
6.ご注文に際して
小型プッシュプルソレノイドをご注文なさる場合、次の項目をご指定下さい。
タイプNo | |
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(指定例) | 14LC-3V |
7.銘板表示
銘板は下記のように表示しております。
●カタログ品
タイプNo | ※1 製造ロット |
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表示例 | 14LC-3V | 9401 |
※1 製造年週(西暦下2桁と週番)
●特殊品
カタログ記載と一部でも寸法等が異なる場合は、全て特殊品として個々のパートNo.を表示しております。
※1 MまたはF |
パートNo. | ※2 P |
※3 製造ロット |
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表示例 | M | 94002 | P | 9401 |
※1 ミリネジはM インチネジはFを表示。
※2 プッシュプルの略号
※3 製造年週(西暦下2桁と週番)