ボイスコイルモータとは

VCMとは

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①VCM(Voice Coil Motor)という呼び名の由来

この形式として最初に実用化されたのがスピーカで、このためVoice Coil Motor(VCM)の呼び名が定着したようです。

②VCMの動作原理

永久磁石によって作られた磁界中にコイルを配置しこれに電流を流すことによって生じるローレンツ力を利用しています。
これはフレミングの左手の法則として知られています。
電流の方向を反転することによって発生する力の方向も反転します。

③構造

狭い磁気ギャップが設けられた磁気回路中に永久磁石から磁束が供給されています。
この磁界中に配置されたコイルに電流を流すことでローレンツ力が得られます。
コイルは巻き枠に巻かれ、巻き枠にはシャフトが取り付けられ軸受けで支持され自由に動くことが出来るので、発生した力が取り出せます。

④特徴

高速応答

ソレノイドは磁性体(鉄)で作られた可動磁極に生じた吸引力を利用します。
一方VCMでは、コイルの巻線に力が生じます。
可動部はコイルと、それを巻き付けたボビン、これらを支持するシャフトだけです。
このため、可動部の質量を大変軽く構成することが可能です。
軽いので高速で動作が可能で応答性の良いことが特徴です。

直線性

ソレノイドは可動磁極と固定磁極に磁束を供給して相互の吸着力を利用しています。
その材料の鉄は供給した磁界とそこに流れる磁束が一定の大きさ以上で飽和する傾向を示します。
このため、コイルに流す電流が大きくなると次第に吸引力が飽和することになります。
VCMでは磁気回路に磁束を供給するのは永久磁石によって行います。
従ってコイルのおかれたギャップ中の磁束は変化しないようになっています。
この磁界とコイルに流れる電流で発生する力が決まりますので、飽和することがありません。
このため、発生推力はコイル電流に対して極めて良好な直線性が得られます。

MM40型

配線

VCMはコイルが可動します。
この可動するコイルに電流を供給する必要があります。
スピーカの場合では錦糸線という極めて可とう性のよい特殊な線材が使われています。
アクチュエータとしてはフレキシブル基板を用いた配線が良く用いられます。
十分な電流容量と、動きを妨げることなく作動耐久性の高いものが望まれます。

コイルの放熱

コイルに電流を流すと発熱を生じます。
ソレノイドの場合には、コイルの巻かれた巻き枠が固定鉄心や格納ケースに接触していることが多く、ここを通じて放熱が行われます。
ところが、VCMの場合にはコイルの巻かれた巻き枠は周囲の空気にしか接していません。
このためコイルの放熱が良くありません。
したがって、大きな電流を流すことが困難で、大推力を得るのは苦手です。

⑤制御

押圧力制御

電流と発生推力の関係は極めて良好な直線性を示します。
このため、押圧力の制御は電流の大きさを制御することで簡単に行えます。
ソレノイドに比べてコイルのインダクタンスも小さいので、応答性も良好です。
電流の方向を反転すると発生する力も反転するので、交流を流すと押し、引きの双方向駆動になります。

位置制御

VCM自身では位置決め能力はありません。
位置を検出するセンサを用意してフィードバック制御することで制御が可能になります。
制御精度は位置検出センサと帰還定数に依存します。
VCMの代表的なアプリケーションであるHDDのヘッドの制御精度はnm単位で位置決めが行われています。

用途例

身近なアプリケーションとしてパソコンに内蔵されているハードディスクがあります。
VCMはヘッドの駆動用として用いられています。
磁石に挟まれるように配置された空芯コイルが、軸受けを中心に回転するように可動します。
コイルへの配線はフレキシブル基板が用いられています。
写真は片側の磁石を取り外してあります。

当社のVCMは円筒形なのでこの例と同じレイアウトはできません
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