ソレノイドの原理
ソレノイドはどのような原理で動くのでしょう?
ソレノイドの原理
永久磁石には、鉄などの磁性体を吸着する作用があります。
電磁石は鉄で出来た鉄心に銅線を巻いて作ったコイルが組み合わせてあります。
このコイルに通電すると、鉄心が磁化されて永久磁石のように釘などの鉄片が吸着します。
コイルの電流を遮断すると磁力は消え去り、鉄片は開放されます。
このように電磁石はコイルに通電したときのみ磁石としての性質を示します。
ソレノイドはこの鉄片の代わりに磁性体で作られた可動磁極を用意してあります。
鉄心として固定磁極があり、その周りにコイルが配置されます。
コイルに通電したときに固定磁極と可動磁極が磁化されて相互に吸着します。
コイルの電流を遮断すると吸着力は消えて復帰します。

ソレノイドの構造原理
ソレノイドの基本的な構造は図のようになっており、磁極とコイルがケースの中に納められています。
磁極は固定磁極と可動磁極があり、固定磁極はケースに固定され、可動磁極にはシャフトが取り付けられており、軸受けを介して移動可能に設置されています。
シャフトはコイルの発生する磁界の影響を受けないように非磁性体で作られています。
コイルは各磁極に磁束を供給可能な位置に固定されています。
コイルに通電すると、その周囲に磁界が生じ、ケース、固定磁極、可動磁極を経由する磁気の流路を磁束が通過します。
この磁路中には固定磁極と可動磁極の間に生じる磁気ギャップがあります。
この磁気ギャップを通過する磁束が磁極相互に吸着力を生じます。
原理的には吸着力は対向磁極の面積に比例し相互間隔の2乗に反比例することになります。
この吸着力をシャフトを通して外部に取り出すことで、負荷を駆動する推力として利用できます。
図において、シャフトの下端に負荷を接続するとプッシュ、上端に接続するとプル型として使えます。
これが「プッシュ・プル型」と呼ばれる所以です。

磁極の形状
磁路に供給される磁界の大きさと、磁路中のギャップの面積、及び距離によって生じる吸着力が決まります。
磁界の大きさはコイルに通電する電流によって決まります。
磁界の大きさが等しいとき、磁気ギャップに生じる吸引力は、その面積に比例し、間隔の二乗に反比例します。
原理図に示したような平坦な磁極を持つフラット型はギャップの間隔と作動距離は等しくなります。
円錐形の磁極のコニカル型はその角度によって磁気ギャップと作動距離の関係が異なってきます。
作動距離よりもギャップが小さくなります。
このため、作動距離が大きくなっても吸引力の下がり方が少なくなります。
これが、コニカル型が長いストロークで有利な理由です。
ただし、角度が浅くなると損失も増えるため、吸引力とギャップの関係が変化するので、実用的な範囲は制限されます。
