ソレノイドとモータの違い

ここでは、ソレノイドとモータの違いについてご説明します。

原理上の違い

①ソレノイドはモータの親戚『定義』

モータという言葉の意味は、動力を得る装置の総称です。
それには、電磁力以外に、蒸気機関や、内燃機関、水力、バイオなど様々なものが含まれます。
収拾がつかない ほど広い範囲になります。
そこで一般的には電気エネルギを機械エネルギに変換するものを示すことが多いようです。
その中でも、電磁エネルギを使用するものが最も一般的で、単にモータというとこれを指すことが多いようです。
ただ、超音波モータや、静電モータなど電磁気以外の原理によるものも身近なところで使用されるようになって来ました。
ソレノイドは電磁エネルギを機械運動に変換するものですから、分類的にはモータの一種といえます。

②駆動が簡単『駆動』

モータの種類は様々ですが、回転を継続する為の何らかの仕掛けを持っています。
一般的なDCモータのように機械的な手段によって複数のコイルへの通電を切り替えるものや、制御装置内の半導体スイッチを使用して切り替えるものなどがあります。
ソレノイドはコイルに通電するだけで動作します。
コイル電流の切り替え機構等は必要ありません。モータのように整流子や、専用のドライバなど特別な制御装置は不要です。

動作上の違い

①モータはエンドレス、ソレノイドは限定『動作の種類』

一般的な電磁モータは回転運動を得るものがほとんどです。
直線運動をするものはリニアモータと呼ばれ、特殊な存在です。
ソレノイドには回転型と直動型があります。
モータの回転運動はエンドレスで回転を続けますが、ソレノイドは限定された範囲で回転します。
ソレノイドの多くは直動型で、直線往復運動をします。

②単に動かすだけではない『制御』

モータには回転数を制御しやすいような構造を持ったサーボモータや、デジタル的に位置制御の可能なパルス モータがあります。
ソレノイドにも位置や、力の制御が可能な比例ソレノイドがあります。

③ソレノイドは低速が苦手『速度』

モータは種類にもよりますが、回転速度を比較的簡単に制御できます。
DCモータなら、加える電圧を変えれば速度も変化します。
ところがソレノイドは速度の調整がかなり困難です。
特に速度を落とすのはかなり難しい問題です。

応用上の違い

①ソレノイドは構造を簡単にできる『ダイレクト駆動』

モータは連続回転しますので、作動範囲を大きく取れますが、ソレノイドはあまり大きな作動距離を得ることは困難です。
ただしモータは直接発生できるトルクはあまり大きくないので、減速機と組み合わせて必要なトルクを得る方法がとられています。
ソレノイドは作動距離は大きくありませんが、大きな力を発生しますので、負荷を直接駆動できます。
減速機が不要な分、構造が簡単にできます。

②ソレノイドは高速動作は得意『速度』

モータは応用にあたり減速機が必要なことが多く、作動時間を速く、または応答性を上げるには限界があります。
ソレノイドは直接負荷を駆動することが出来るので高速度が必要なところに応用が可能です。
打撃力など超高速運動、高応答が必要なところも得意です。

③戻し方の違い『往復動作』

ある範囲を往復動作するような場合、ソレノイドは負荷を取り付け、駆動用にスイッチを用意するだけですが、モータの場合、作動端に位置の検出手段を用意して駆動電流を制御する必要があります。
ただし、ソレノイドの場合には復帰のためにバネを用意する必要がありますが、モータは逆転させて原点に戻すことが出来ます。

④途中で止めるとアブナイ?

DCモータは、作動中に拘束されると過電流が流れて焼損することがあります。
DCソレノイドは原理的にこのようなことは起こりません。
ただし、ACソレノイドはDCモータと同じように作動中に拘束すると焼損することがあります。

⑤ソレノイドは安全機構が構成しやすい『フェールセーフ』

高度な安全性が求められる用途においては、システムに支障が生じた際に安全側に戻したいという事があります。
ソレノイドは復帰ばねを付ければ電源を遮断することで安全位置に戻ります。
モータの場合、減速機を使う必要があるので、復帰ばねによる復帰がかなり困難です。 逆回転させるか、減速比 を落としてトルクの大きなものを用意する、またはクラッチ機構を設けるなど、フェールセーフのために特別な機構が必要なことが少なくありません。

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